大阪地方裁判所 昭和53年(タ)109号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【説明】
Xは、Aの死後、検察官を相手として認知を訴求した。Aはインド国ベンガル州カルカツタ市で出生したインド国籍を有する者であつた。
本判決と同旨の先例は多数あるが、例えば最近のものとして、東京地判昭47.3.4本誌二七九号二三五頁(死後認知、リヒテンシユタイン公国)がある。学説については、欧「認知と公序」渉外百選(増補版)一一八頁以下、折茂・国際私法(各論)(新版)〔全集〕三四七頁以下参照。
【判旨】
右事実によるとき、原告は、Aの子であると認めるべきである。
ところで、原告は、日本国民であり、Aは、インド国籍を有するところ、法例一八条によると、認知の要件についての準拠法は、子については認知の当時の子の属する国の法律により、父については認知の当時の父の属する国の法律によることになる。そこで、子である原告については日本民法によるべきであり、父であるAについてはその本国法であるインド国の法律によるべきところ、神戸インド総領事の回答によれば、インド民法には、婚姻外の子が父に対し認知を請求し得る規定は存在せず(父死亡後も同様)、それは、かかる請求を許さない趣旨と解されるので、その場合、法例三〇条にいわゆる公序良俗に反する場合に当るものといわなければならない。したがつて、法廷地法たる日本民法を適用し認知請求を認むべきものと解するを相当とする。
(下郡山信夫 辻忠雄 工藤雅史)